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大学のサークルでのリレー小説でも 載せておこうかな

//白石 歌香
「何やってんだ? 置いてくぞ」
「待ってて。もうちょっと待ってて」
 旅の連れである青年に急かされたけれど、彼女は額に流れる汗を土で汚れた腕で拭うと作業を続けた。固い地質のせいで素手では穴を掘りにくい。スコップがあればよかったのだけれど、あいにくキャラバン生活の彼女にはそんな便利なアイテムを持ち合わせていなかった。
 青年はまたか、というようにため息をつくと、ちょっと離れたところで煙草を吸い出した。もくもくと白い色をした煙が空へ薄らいで消えていく。その煙の独特の匂いを彼女は嫌いではなかった。
 青年はいつもの癖で吸い終わった煙草を捨てて足で踏み潰そうとするが、彼女がその行為を嫌っていることを思い出したのか、あー、っと呟くと 足を踏みとどめて、緩慢な動作で拾った。
「よしっ」
 それと同時にようやく作業が終わった。半径5センチ、深さ10センチ程の穴をようやく掘り終えた彼女は、キャラバンから持ってきていた鉢を取り出した。その鉢に入っていたのは、鉢の中から窮屈そうに背を伸ばしている一本の桜の苗。
 キャラバン生活で訪れた地に、桜の苗を植えるのは彼女の数少ない楽しみの1つであった。


//先輩A 
 そんな彼女を青年はそんな彼女を冷めた目で見ていた。
 この辺りの気候、地質はお世辞にも桜という気に適しているとは言えない。又、流浪の民である自分たちには木の世話をすることなどできようはずもない。
 恐らく、今日植えた桜も人知れず枯れてゆくのだろう。
 青年は無意味だと知りつつも、少女のその行為を止める事はしていない。少なからず青年が少女に対して好意を抱いているというのも理由ではあるが、何よりもキャラバンのリーダーが少女に対して何も言わない以上、自分から文句をつけるべきでないと考えていた。
「どうかしたの? 早く戻らないとリーダー怒るよ?」
 植樹は終わったらしく、少女が此方にきていた。
「どうもしない。終わったのなら戻 ろうか」
 そう優しく告げると、少女は微笑んで駈け出した。青年はゆっくりと歩いて追いかける。
 青年は何故少女が桜を植えているのか知らない。より正確に述べるならばキャラバンのメンバーはお互いの過去を知らない。誰かが決めたという訳ではないがキャラバンにはお互いの過去を詮索しないというルールがあった。
 だから、青年は何故少女が桜を植えているのか知らなかった。


//先輩B
 キャラバンの拠点に戻ろうとした二人であったが、しかしそれはできなかった。
別段、その道中でなにか問題に出くわしたというわけではない、ただ戻れなかったのだ。
二人がやってきた場所には何もない荒地が広がっているだけで、肝心の拠点がどこにも存在しないのである。
「えっ? どういうこと?」
少女が間の抜けた声を漏らす。事態が飲み込めず、唖然とした様子である。
 つい数時間前にはテントや馬、そしてリーダーを初めとした仲間がひしめき合っていたはずの場所には、二人を除けば人一人、更に言えば人のいた痕跡すらも残っていないのだから、その反応も当然であろう。
「最初に目印とした岩があるってことは、場所を間違えたってこともないよな……?」
 少女に比べ、いくらか冷静らしい青年は困惑しながらも、そこがもともと自分たちの拠点があった場所であると気づく。
「なら、みんなどうしたっていうの? もしかして、あたしたちを置いて先に行っちゃったの?」
「いや、それはないと思う。そもそも全く痕跡がないなんて、いくらなんでもおかしすぎる」
 青年の言葉通り、キャラバンの痕跡はどこにもない。もし先に言ったのであれば、移動のあとが残っているはずである。
「だが、それよりもまず優先して考えることがある」
 いまだ理解してない少女に、青年は問題を伝える。
「これから、どうするか、だ」
 仲間どころか拠点においていた荷物も失い、この荒地の中どうするべきなのかは流石に青年にも思いつかなかった。


//白石 歌香
 不幸中の幸いか、近くには小川が流れ、水の心配はなかった。また季節が秋ということもあり、彼女が桜の苗を植えた場所付近には木の実が豊かな森があって、少しの間は飢えて死ぬという心配もなさそうだった。
 ただ厚い雲が出てきて、さっきまで晴れていたのが嘘みたいに今にも雨が降りそうな天気になっていた。秋の天気は変わりやすい、という言葉があるが雨露を凌ぐ所のない今の二人には災難もいいところだった。
「こっちだ。急げ。雨降る前に木の実集めきるぞ」
 落ちている木の実は色々な種類で、とりあえず食べられそうなのだが、なにぶん1個がさほど大きくない。大人である二人の食事にはとても足りるものではなかった。
 青年は最初から持っていたバックに積めるだけ積めているが、彼女は未だに現実を受けきれている様子がなく、バックにも入れている木の実も少ない。
「う、うん……」
 ようやく青年の近くにたくさん落ちている木の実を拾いだしたが、やっぱりその手は緩慢としていて、やる気がない。
 さっきのさっきまで平和だったはずの日常が、どこともしらない平地のど真ん中においてけぼりをくらったので、彼女の虚ろな気持ちも分からなくはないが、運が悪ければ生死に関わる。
 ――おい、ぼけっとしてないでさっさと集めろ、死ぬぞ――という叱咤は青年の心の中だけで終わった。
 ――ザーザー。
 風向きが変わったかと思うと突然雨が降りだしてきた。草木には祝福に近い天の恵みだが、悲しいかな、とても今の二人にはそうではない。
 通り雨というだけでもないらしく、空は一面中灰色の雲で覆われていた。キャラバンの中には傘もあったのだが、当然今の二人はそんなもの持っていない。
「走れ」
 彼女の肩を軽く叩くと、青年は木の実が山ほど入った重たいバックを背負って走り出した。彼女もさっきまでの遅い動作が嘘のように後ろをついてくる。
 目的地はなかったが、とりあえず森の中を走る。さっき木の実を集めていた場所より木の実が落ちていた場所もあったが、一応場所だけ覚えておいて無視する。
 二人の息が上がってきたころ、遥か上方まで続く灰色の硬い岩盤で出来た壁にぶち当たった。とても登れるような高さではないのは一目瞭然で、もちろん登る気もなかった。その代わりに近くに岩盤が抉れて出来た洞窟があった。
「ここ入るぞ」
 少し遅れてついてきた彼女にそう合図して青年は洞窟に入り込んだ。少し遅れて彼女も入る。
 ちょうどいい広さの洞窟でいい場所を見つけた、というよりは青年は洞窟に入って驚愕した。ありえない。彼女にいたっては、はっと息を飲んでいた。
「なんで……」
 それはここにあるはずのないものだった。
 ――桜の苗の植木鉢。
「なんでこれがここに……」
 キャラバンの中には彼女がいくつかコレクションしていたはずのものが何故かそこにあった。




長々と失礼しました。
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プロフィール

白石歌香

Author:白石歌香
こんにちわ 大学1年生の 
白石歌香 っていいます。
もちろん半値です。中身は男ですー。

半値の由来は誕生石と自分の名前です。

杏エヴァン1位目指して奮闘中。

めいぽでは 現在ヨゼリア っていうキャラ使ってます。
でも未だにヨゼリアって名前に慣れないっていう。
呼ぶときはリカイナ、でお願いします。

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